今、全国でオーガニック給食に取り組む自治体が増えてきているのをご存知でしょうか?
そもそもオーガニック給食って何?と思われている人もいるかもしれません。
”オーガニック”とは、太陽や土、水、微生物などの働きによる、自然由来の、という意味です。日本語では”有機”といいます。
”オーガニック給食”は、化学的に作られた農薬や肥料に頼らない、オーガニックな農法で作られた農産物や、農薬や肥料を使わずに作られた農産物を材料として使う給食のことです。
そのオーガニック給食に取り組む自治体が全国で増えています。
その背景に何があるのか、また、オーガニック給食のメリットなどを紹介します。
オーガニック給食のメリット
子どもの健康のため
子どもには、安全で安心な食べ物を食べさせてあげたいもの。
オーガニック給食では遺伝子組み換えや残留農薬の心配をしなくてもよい点が大きなメリットではないでしょうか?
また、農薬や化学肥料を使って作物を作り続けると土が痩せてくるそうですが、有機栽培の場合、土中に住む多くの微生物の働きで土が肥え、栄養分の多い農作物ができると言われています。
オーガニック給食は地域や地球の自然環境も守る!?
有機栽培や農薬や肥料を使わない農法では、その土地に住む多様な生き物が生きられる環境が守られます。
今、急速に多くの生物が絶滅していっているそうですが、生物多様性を守るために取り組む地域が全国、さらに地球全体に広がれば、地球環境を守ることにも繋がります。
給食をオーガニックにすることで、売り先が確保できるので、有機農家さんは安定して生産できるようになります。
子どもの健康を守ると同時に、農家さんの健康や生活、そして自然環境も守ることに繋がることはオーガニック給食のメリットだと言えます。
なぜオーガニック給食への関心が広まっているの?
アレルギーを持つ子どもが増えていることや、添加物・遺伝子組換えなどへの関心なども背景として挙げられると思いますが、2021年農林水産省が発表した「緑の食料システム戦略」の中で、学校や幼稚園、保育園の給食に、地元の有機農産物を使う場合、国の支援が得られやすくなったこともあり、さらに関心が高まっているようです。
かくいう、我が家も息子がアレルギー体質で、いつも身体が痒そうなんです
オーガニック給食を進める上での課題
コストが高い
農作物をつくる上で悩みの種になるのが雑草や害虫。
慣行農法では除草剤や消毒により、それらを抑えますが、有機農法や農薬などを使わない農法だと夏場は何度も草刈りをしたり、虫を除けるための作業に手間暇がかかったりします。
そのため、食材費が高くなってしまいますが、オーガニック給食を行う自治体では、差額分を自治体の予算で支援し、保護者の負担が増えない工夫をするなどしています。
ただ、いすみ市では、無農薬米を栽培したその日から、コウノトリがどこからかやってきて、害虫などを食べてくれた、なんて動画がありました。
慣行農法に慣れてしまった我々には、忘れてしまった何かに助けれらるかもしれません。
流通量が少ない
日本の有機農地の面積は、全ての農地の約0.6%と言われています。
もともと作られている量が少ないので、まとまった量が必要な給食で使うのはハードルが高いという現状があります。
ただし、オーガニック給食を行っている自治体では、有機農地の面積が年々増加しているので、初めは少ない品目からとか、月に数回などからでも始めることが、有機や農薬不使用などの農産物の生産量や流通量を増やすことに繋がる可能性があります。
現在の状況と今後
愛媛県今治市や千葉県いすみ市などがオーガニック給食を実施している自治体として有名ですが、他にも多くの自治体で取り組まれています。
オーガニック給食マップ
というサイトがあり、こちらで今取り組んでいる、またはこれから取り組もうとしている自治体を見ることができます。
自分が住んでいるまちでも実現したい!と思ったら、それらのまちの取り組みからヒントを得られるかもしれません。
オーガニック給食への追い風が吹いている今、それぞれにできる1歩を踏み出してみるのはいかがでしょうか?